こんにちは、革靴伝道師として活動しているこひ先生(k_leather_lover)です!
皆さんいかがお過ごしですか? 今はお盆休みですが、私は普通に自宅で仕事しています(笑)。
私の会社では夏休みを好きなタイミングで申請していいんですが、今年は妻の予定を見つつ決めていければと思います。
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さて本日は鏡面磨き(シューシャイン、というかより正確にはハイシャインか?)を施した革靴の、ワックスの落とし方についてです。
いろいろ道具や方法はありますが、自分も迷っていたのでこの機会に慣れてない人のためにまとめてみました。
鏡面磨き(ハイシャイン)した革靴の表面について
原理は、表面の毛穴に油膜がコーティングしてある状態
革靴のアッパーに使われる革は牛革である場合がほとんどです。
牛も動物なので革の表面にポツポツと毛穴が確認できます。人の肌でもイメージできますが。
ワックスを使ったシューシャインとはその表面の毛穴を埋めて積層させて、平らにする作業のこと。それが鏡の様に光るほど滑らかになった状態こそ「鏡面」磨きなのです。
革靴のアッパーの質や加工によってワックスの重ね方も変わる
ただし一つ注意したいのが、どの革靴もワックスが同じように塗られているわけではないという点です。
革靴のアッパーの質や加工によって毛穴の状態も異なり、シューシャインに掛かる時間や方法も微妙に変わってきます。結果として、落とすときもその手間が異なります。
たとえばガラスレザーや何か樹脂加工されているようなツルっとした表面の革靴だと比較的早く光りますし、ワックスの量もそれ以外の革靴と比べて少なくても足ります。
具体的に私の革靴を例に出すと、リーガルのUチップやアルフレッドサージェントのフルブローグが該当します。本当に光りやすい。
逆に、RENDOは国産の革の毛穴が深く、結構念入りに埋めていかないと光りづらいです。
どんな時にワックスを落とす必要があるのか
トウやヒール、場合によってコバなどをシューシャインすることで防水・防塵効果、傷の防止などメリットがあります。とはいえ革は自然由来の素材。
表面をワックスで覆ったままにするとクリームの成分が行き届かないで保革されず、乾燥でひび割れてしまいます。そのため、1ヶ月か2ヶ月の定期的なケアの場合に落としてあげてください。
また程度にもよりますが、何かに思い切りぶつけてワックスがえぐれてしまったときやバリっと割れてしまったときも、一旦落として塗り直しが必要です。
ただし軽度のこすり痕くらいなら、このようにストッキングで表面を研磨すれば摩擦熱で滑らかになり、綺麗にできたりします。
ワックスを落とすための道具選びと施術のポイント
このワックスを除去する作業で使う商品を紹介するのに、ちょっと迷いました。
人によってやり方も違うし、プロのなかには除去効果の結構強い業務用アルコールを使う人もいます。
扱いやすく安全である点
やはり手にかかっても大丈夫で、臭いも強すぎない、扱いやすいものをおすすめしたいです。
正直シューシャインのワックス落としに時間を使ってられないのですが、完全に消し去るのって労力が要ります。
なので安全でありつつ、効果は確かだと思ったものに限り紹介していきます。
一般人でも入手しやすい点
また、これは複業で出張靴磨きするときのポリシーでもあるのですが、見てくれた人が自分でも実践できるよう「店頭で買いやすい」「入手しやすい」点も考慮に入れています。
効率的な方法を知ったところで、実践できなきゃどうしようもないですからね。知識より実践です。
鏡面磨き(ハイシャイン)した革靴のワックスを除去する方法
それではこれから具体的なやり方を書いていきます。
そもそも人によってワックスの重ね方や回数が違いますし、前述したように革靴の毛穴の質もそれぞれ異なるからです。
豚毛ブラシで叩き割る
まずブラシのなかでも固さのある豚毛ブラシを使い、物理的に砕いていく方法です。厚めに塗った場合は特にこれが有効。
手首のスナップを効かせて鞭を打つように(笑)、叩き割ります。7割方これで落とせます。
ただしボロボロとワックスの屑が落ちるので、汚れても良いところに移ったり、玄関や窓を開けてやったりするのがおすすめです。
専用クリームか潤油性の乳化性クリーム(クレム1925など)で溶かす
次にワックス除去専用のクリームを使い、溶かしていきます。さっきと比べて化学的なアプローチですね(笑)。
お皿洗いのときにギトギト汚れがトロリとした洗剤ですっきり退かされるように、ワックスの油脂は油分の入ったクリームで除去していきます。
おすすめはコロンブスのポリッシュクリーナー(もしくはハイシャインクリーナー)。布に少量取って、円を描くように上から重ねていきます。
ちなみにサフィールのクレム1925を代用する人もいます。
ただクレムはシューケア商品のなかでも汎用性が高く消費量が多くなりがちで、もったいないので、個人的には控えています(ケチと言わないでw)。
途中でツーフェイスローションで汚れ落としする
ほとんどの場合、上記ポリッシュクリーナーの段階で結構落ちます。なので、私がやる場合この時点で仕上げ(兼テスト)します。
ツーフェイスローションは水性の汚れ落としに比べて、適度に油性が含まれています。なので若干のワックスも落とせますし、ポリッシュクリーナーのベトベトも取り去ってくれます。
この時点でなんかワックスが残っていると、その部分がテカります。それはツーフェイスローションで落としきれないワックスが残っている証拠。
そうしたらその箇所だけまたポリッシュクリーナーを行い、この工程を2,3回繰り返して落とし切ります。
強めの汚れ落とし(レノマットリムーバーなど)で溶かす
これは最終手段です。汚れ落としのなかでも「強い」部類で、取り扱いにちょっと厄介なので注意点をお伝えします。
まずひとつ。蓋を開けた瞬間、シンナーのような化学薬品の臭いがします。絶対に換気した環境でやってくださいね。
次に、やっぱり効果は抜群で本当に落ちますが革を痛めやすいです。10円玉分くらいを布に取ったら、ゴシゴシとはやらずに、ワックス面だけに少量の圧をかけてこそぎ落とします。
まとめ
いかがでしたか? 頑固な古ワックスを落とすポイントを学んでいただけていれば幸いです。
以下が今回の記事のまとめです。
そもそも鏡面磨き(シューシャイン)は革表面の毛穴を埋めて滑らかにする行為
定期的なケアか目立った汚れ・傷の場合に、落とすと良い
豚毛ブラシの殴打、専用クリームによる除去、その後のクリーナーによる手入れ、レノマットリムーバーによる除去など、残り具合に合わせて対応する
また本記事の執筆にあたり、Twitterのフォロワーさんたちにはまたしても助けてもらいました。
▼ゆるい相談~
バッチバチに鏡面磨きした革靴のワックス、皆さんならどう落とします?
⇒特に靴磨き初心者さんに説明するとき!
①豚毛ブラシで叩き割る
②専用クリームかクレムで溶かす
③レノマットリムーバーで溶かすが私なりの答えなのですが、こだわりある人いたら参考にさせてください!
— こひ先生 @革靴伝道師 (@k_leather_lover) August 15, 2019
消しゴムで擦った後リムーバーで拭き取る
— takuma (@takkuma0088) August 15, 2019
ブリフトのザ・クリーナーで落として、ツーフェイスで落としてます。それでも取り切れない時は、ブラシで叩き割ります👍
— ぽち (@pochi9311) August 16, 2019
後出てないのは…セロハンテープですかね😊
— s.s.sawaguchi (@sawaguchi_s) August 15, 2019
そういったワックスはロウ分が多いので、あまりにも落ちないときはロウソクに火をつけて少しずつ炙ると良いと、ベテラン修理屋さんに言われました。 https://t.co/Ee8sjssbNg
— 中村 明博 (@besukenakamura) August 16, 2019
今回紹介できませんでしたが、セロテープ剥がしや消しゴム研磨、ライター炙り、その他いろいろな方法も教えていただけました。ありがとうございました!