結局何で革靴を磨くべき? 乳化性と油性、潤油性クリーム(靴墨)の違いまとめ

ケア道具・革製品

こんにちは、革靴伝道師として活動しているこひ先生(k_leather_lover)です!

 

「選べねえ……!」

 

大手スーパーや百貨店のシューケアコーナー。ずらっと並ぶ商品の数々。目が回るくらい多いですよね。

ブランド別や成分別、色別で種類が分かれるため、革靴の手入れに慣れていない人にはどうしても無数に感じてしまいます。

今回はお手入れ初心者さんに覚えて欲しい「乳化性クリーム」と「油性クリーム」の違いをまとめてみました。前提として、スムースレザー(エキゾチックレザーやスエードではない革)の手入れ方法の紹介になります。

 

乳化性クリームと油性クリームの違い

注意点:呼び方に違いがある

まずはクリームの違いについて説明していきます。代表的なものは「乳化性」と「油性」クリーム。実は生活者が指す「クリーム」と製造元が言う「クリーム」は若干定義が異なります。

  1. 私たち生活者が指す主な「クリーム」:乳化性クリーム(見た目重視の考え方)
  2. 製造元、販売者が指す主な「クリーム」:乳化性クリームと油性クリーム(成分重視の考え方)

前者は触り心地や見た目がクリーム状なのでそのように呼びますが、後者は成分である「ロウ、油脂、有機溶剤」が共通しているため一括りで呼ぶようです(ビンのクリームとか、缶のクリームとか言う)。成分について、詳しくは後述します。

「油性クリーム」と言うが、実際はパリパリ、もしくはヌメリとしている

整理すると、私たちは「クリーム」と言うと多くの場合「乳化性クリーム」を指し、企業で言う「油性クリーム」を「ワックス」と呼びます。色々な靴磨きの本でも「ワックス」と書いているので、たぶん明確な定義はないのかもしれません。

■関連記事:
革靴用ワックスの選び方! おすすめの種類や成分、効果、乾燥目安や注意点など

整理:乳化性クリームの種類

cream

潤油性タイプのクレム1925(左)、水分の多いタイプのブートブラック(右)

また乳化性クリームには大きく二種類があります。

  1. 油をベースに水とワックスが混ざってコッテリしたタイプ(潤油性と言う)…写真左
  2. 水をベースに油脂やワックスが混ざってサラサラしたタイプ…写真右

ご興味がある方は、私が老舗靴用品メーカー「コロンブス」に工場見学へ行った際の記録をご覧ください。

整理:靴クリームの成分と効果

前提として、乳化性クリームの主成分は水と油脂(有機溶剤を含む)、ロウです。一般的にどの乳化性クリームにも、革に水分を与える保湿と艶だしの効果があります。

ただしクレム1925のような潤油性クリームは、乳化性クリームのなかでも油と多く水が少なめです。水ベースの乳化性よりも艶だしや撥水性に特化しています。注意点は、べちゃべちゃと塗りすぎないこと。

革の状態にもよりますが米粒2、3個ほどを取りアッパーに少しずつ塗布するのが一般的です。また油性クリームの場合は染料や顔料に限りがあるため、色の展開が乳化性よりも少な目です。

使われる原料や配合比率がブランド毎に異なり、光具合や色味も変わるため、選ぶ際は少々注意が必要です。革よりも少し薄い色を選ぶと間違えありません(私は店員さんと革靴を履いていき、合う色をその場で相談して買います)。

上記の乳化性クリームの仲間に、デリケートクリームというものがあります。

デリケートクリームにはロウが含まれていないため、光らせる成分が乳化性クリームよりも少なく潤い重視となります。また、ロウ分が含まれていないためエキゾチックレザーなどシミが気になる革にも使えます。

 

革靴のお手入れの手順や磨き方

それでは実際の手入れ、磨きはどうでしょうか。

まず乳化性クリームを塗布し、表面の色抜けと乾燥部分をカバーしていきます。別の記事でも書きましたが、豚毛によるブラッシングをすれば完了です。

この段階で終わらせることもできますが、油性クリームをぜひ活用して上品に光らせてみましょう。これくらい取って、アッパーにまんべんなく、表面をさっと覆うくらい少量を塗布していきます。

こちらも豚毛によるブラッシングで完了です。色が同じなら一緒のブラシで乳化性と油性共有しても大丈夫ですよ。ブラッシングが終わったら、最後に仕上げの布磨きで余分のクリームをふき取り、全体的に馴染ませます。

■関連記事:
革靴のお手入れ、基本の磨き方特集! 頻度や道具、手順まとめ

 

おすすめのクリーム

色々あり過ぎて困る靴クリーム。実際に好み次第なので正解はありません。

ただ私の販売員時代の知見や出張靴磨きによる経験、Twitter仲間による情報共有を通じて、下記をおすすめします。

乳化性クリーム:ブートブラック

  • 成分: ロウ、油脂、有機溶剤
  • 値段:1080円(税込)

油性クリーム:サフィールノワール

  • 成分:ロウ、油脂、有機溶剤
  • 値段:2160円(税込)

デリケートクリーム:M.モゥブレィ

  • 成分:ラノリン、油脂、有機溶剤
  • 値段:1080円(税込)

遅まきながら補足ですが、「有機溶剤」とはロウや油分の成分を溶かす薬剤のことです。ちなみにラノリンとは動物性のロウの一種で、羊の毛根成分から採取するのだとか。

 

まとめ

コロンブスで撮影した植物性ワックス

誤解を恐れずざっくり表現をすれば、水ベースの乳化性クリームは保湿、油ベースの潤油性クリームは光沢・撥水性のチャージと言えます。基本的には両者に着色と保革作用があります。

まずはおすすめの乳化性、潤油性クリームを一つずつ買ってみて、必要に応じてデリケートクリームを買い揃えればと思います。

「革靴買って、シューキーパー買って、今度はクリームも買うのか……」と思うかもしれませんが、良い革靴に育てる過程と割り切ってください(強引)。

■関連記事:
コロンブスの松戸工場に行って、原材料やら製造工程やら学びまくって来た!

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