社内で靴磨きをするようになって、部署を超え、会社を超え、色々な人から革靴に関する相談をいただくようになりました。
特に多いのは「選び方」と「手入れ」についてです。
今回は社会人なり立ての人や新しい靴が必要になった人に、革靴に関する基本の「き」をお伝えできればと思います。
まず初めに:筆者は何者か?
元靴屋の販売員でもある私。「マニアックよりもベーシック」をモットーに、今回は革靴の手入れについて初歩的な部分を紹介します。
私は社外で靴磨きをする際、事前にPDF資料を先方の会社さんに渡しています。初歩の質問は解決できるようにするためですね。
今回はその資料を少しご紹介します。
どのメーカー、どんな種類を?
まずは定番3メーカーを試してみる
こちら、「革靴にあまり関心の無かった人が、まず本格的なものに挑戦する」という前提でピックアップしてみました。
- リーガル
- スコッチグレイン
- ジャランスリワヤ
どれも大型百貨店やスーパー、セレクトショップにいけば手に入ります。最初の選択としては悪くないですね。
しかし、ここで強調しておきたいのはいずれのメーカーの靴も「ちゃんと足を通して判断して!」ということです。
木型(要するに靴のかたち)が異なるためサイズ感も変わってきます。チェックは怠らないでくださいね。
ちなみに、下手に1万やそれ以下のものを買うと、すぐ壊れちゃったり修理がきかない製法だったりするので、必要な投資だと思ってぜひ奮発して欲しいです!
基本の3タイプはこんな感じ
これは元バイト先の受け売りでもあるのですが、「冠婚葬祭にも使えるやつ1つか2つ、後は明るめ」といったチョイス。
- 黒の外羽根プレーントゥ
- 黒か茶のストレートチップ
- 模様付きドレスシューズ
私は普段IT企業に勤めており、それも内勤なので基本必要ないのですが、このルール通りチョイスしています。
どれも、ジーパンや白チノパンに合わせやすくとても重宝しますよ。もちろん冠婚葬祭もばっちりです。
ただ、1足が定価2万~3万円するとしたら、決して安い買い物ではないですよね。なので、少しずつでも良いので複数揃えてローテーションできるようにしましょう。
試し履きでは、どこを見る?
これも語り出したら止まらないのですが、まずはこの4か条を守ってください。店員さん時代のポイント込みでまとめました。
- 普段使う靴下で試し、踵が遊ばないか
- つま先に爪一つ分くらいの余裕があるか
- 足の指の付け根を結んだ線(ボールジョイントという)が痛くないか
- 困ったら店員さんに聞く。 ※慣れるまでネットで買わない
①はお家を出た時点で忘れないようにしましょう。そのままいつもの靴下を履いて行ってもいいですね。
②と③は店舗で確認できますから、頭の片隅に入れておいてもらえればOKです。少し歩いて試しましょう。
問題は④です。これは接客のされ方、心持ちの問題になります。
自分の足は自分で分かっている、そう考えるのは分かります。ただ「餅は餅屋」。人体のプロ、革製品のプロに総合判断してもらうのが良いです。
ちなみに私は「新しい発見が無いか」という期待も込みで、積極的に店員さんに声を掛けて見てもらうようにしています。
普段の手入れはどうするのか
お家でのケア
普段手入れが慣れてない人が、最初から難しいことをする必要はありません。
まずは下記を買ってみて、少しずつ慣らして、愛着を持つことが何より重要だと思います。
初級編でしたら、全部東急ハンズで買えますよ!
- 靴べら
- 防水スプレー
- シューキーパー
- ハンズのブラシセット
ぶっちゃけ、資料の「帰宅後のブラシ10秒」は少し盛りましたが(笑)、私も家について靴を拭く時はそこまで時間は掛けません。
履く頻度や順番
これは買いそろえた時に覚えていて欲しいことであり、3足持つべき理由でもあります。
- 同じ靴を連投しない。乾燥させなきゃ中からダメになる
私の場合、雨の日にはスニーカーを履いたり、その時の気分でぐるぐる回していますが、同じ靴を連投したことは社会人になって一切ありません。
人の足は、歩行するだけで1日コップ1−2杯分の汗をかくとも言われるので、連投することは不衛生です。
また、内外の革に負担もかかるため、寿命を縮める原因になるともいわれています。
お気に入りの靴でも、ぜひ間をあけて乾燥させてあげてください。そのために、まずは2−3足揃えることを目指しましょう。
さいごに
実はこの資料を作るにあたって、Twitterのフォロワーの皆様には大変お世話になりました。
【ちょっと靴好きの皆さんにご相談】
今週末、靴磨きを全然しない社会人に革靴の魅力を伝えるために、
豊洲の某社の一角で、出張靴磨きをしてくる。→靴のリテラシーは高くない
→あまり難しい話すると苦手意識持たれそう配布資料に下記要素を入れたいと思っている。
→ぜひツッコミ欲しい— こひ先生 @社内靴磨き屋 (@k_leather_lover) 2018年2月21日
嬉しいいことにリプライだけでなく個別メッセージをくださる方も。とても参考になりました。自分ひとりで作る以上に、良いものができたと確信しています。
とはいえ、私の知識もまだまだ不足しています。これからレザーソムリエの資格の取得を目指し勉強も少しずつ頑張ります。
- 参考文献
- 鈴木章史(2017)『靴ブラシで歩き方が変わる。』Amazon Services International, Inc.
- 長谷川裕也(2016)『靴磨きの本』亜紀書房.
- 渡辺鮮彦(2017)『一流の人はなぜそこまで、靴にこだわるのか?』クロスメディアパブリッシング.
- 画像引用
- リーガル、スコッチグレイン、ジャランスリワヤ各社公式ホームページより
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