たまには丁寧に。ニューバランスのお手入れ方法をガッツリ解説してみた。

ケア道具・革製品
こひ(筆者)
こひ(筆者)
こんにちは、革靴伝道師として活動しているこひ先生(@k_leather_lover)です!

今日は私のニューバランスのケア方法についてご紹介します。私はコロナ禍で最近、ほぼ毎日自宅勤務です。革靴を履く機会とスニーカーを履く機会は半々くらいになりました。

手持ちのニューバランスは社会人になる寸前に買ったので、もうすぐで4年目。購入当初から「ラフにガシガシ履き尽くそう」と決めていたのですが、乱暴に履き過ぎてボロボロに……。

今回は、私が考えつく限り最大限のケアを行ったので、お楽しみください!

 

4年間履いた、私のニューバランスの状態

こちらが私のニューバランス「M1400」になります。アッパーは全面スエード。信じられないかもしれませんが、買った当時は発色の良いネイビーだったんですよ。

社会人になる直前の私は、なんとか見た目だけでも「かっこいいITワーカー」を目指さなきゃと焦っていました(笑)。

まずは白シャツにネイビーのジャケット、ジーパンにスニーカーというド定番なスタイルを着こなせるように、地元のABCマートで購入。

全身ほとんどユニクロだけど、ジャケットとスニーカーだけはそこそこ立派なブランドを買い、値が張って……良い思い出です。

買ってから週に1、2回、コンスタントに履いていたので、退色もさることながらインソール(中敷き)や踵のロゴもボロボロに。

お手入れの前にアウトソール(靴底)を見たところ、やや削れているもののまだ交換しなくても大丈夫そうだと分かりました。

また定期的に外気に触れさせていたおかげか、加水分解(※ソールのスポンジ部分が化学変化を起こしボロボロに崩れること。閉め切ったところに保管しておくとよく発生する)は起きていませんでした。

こひ(筆者)
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今まで何度か買い替えも考えたのですが……

お気づきの方もいるかもしれませんが、実はこの「M1400」、2年ほど前に生産が終了しています。

ボロボロになるスニーカーを前に、他のタイプに買い替えることも考えました。ただ、個人的にアッパー(靴の上部)全体がスエードな部分がお気に入りで、現行の別タイプに代わりが見つからず。このM1400をできる限り、履き続けることにしました。

 

ニューバランスのお手入れの基本方針

お手入れ全体の流れ

それでは、これからニューバランスのお手入れ方法をご紹介します。実は基本的に、革を使ったスニーカーのケアと大きく変わりません。

ただしニューバランスは素材のパターンが豊富なので、それぞれの素材の違いに留意して説明します。大きく下記に分類できます。

 

  • 表革(普通の動物の皮をなめしたもの)
  • スエード(革の内側を削ってけば立てたもの)
  • ナイロンなど化学繊維
  • アウトソール(靴底)

 

なので、表革とスエードの両方兼用可能なお手入れ道具、もしくはスエード靴ならスエード専用の道具が必要です。

一方、アウトソールは、一般的なスニーカー同様、ゴムやスポンジを使った化学繊維が多いです。そのため、スニーカーを水洗いできる市販の洗剤はどれも有効です。

・・・

上記の前提をもとに、ケア全体の流れをみて行きます。

 

①靴紐とインソール(中敷き)の取り外し 
②アッパー(靴の上部)の汚れ落とし・保革・補色 
③アウトソール(靴底)のケア

 

どうでしょうか。やはり基本方針と手順は革靴のケアとも大きく違いありません。

それでは次に、ニューバランスやスニーカーならでの確認事項に移ります。最大レベルで汚れのひどい(笑)、私のニューバランスの事例を題材に見ていきましょう。

まず脱色・退色がひどいです、改めて見ると。ネイビーがグレーになり、グレーがオリーブやミントになりつつあります。M1400のなかにグリーンは販売していますが、こんな色は普通存在しません。

次にロゴまわり。ここはパーツが取れかけているので、完全なケアはできません。「リペア(修理)」の領域でしょうか。今回は崩れている素材を削り落として、最低限、見た目を直そうと思います。

最後にソール。前述の加水分解や剥離、穴あきが確認できた場合は、こちらも要修理です。仮に私が行く場合は、都内であれば池尻大橋駅の「シューオブライフ」さんなどに持っていきます。

●おすすめ記事:
東京近辺にある本格派の革靴修理店まとめ:メニューから価格、場所、クチコミなど

お手入れに必要な道具

今回はスニーカーケアとスエードのケアにとって、基本的な商品を集めてみました。どれも市販のものです。

 

ジェイソンマーク or スニーカーケアフォームシャンプー:汚れ落とし用。どちらでもOK
スエード保湿リキッド(ナチュラル):保革のため。ナチュラルだと使いやすい
スエードブラシC:毛に詰まった汚れを掻き出すため
スエードカラー65:着色・補色のため。今回のケアの本丸のひとつ
マスキングテープ:スプレーによる着色防止のため
靴紐とインソール(中敷き):今回は純正を採用
それでは早速、具体的なお手入れの方法を見ていきましょう。

ニューバランスのケア①:靴紐とインソール(中敷き)の取り外し

まず本格的なお手入れの前に、靴紐やインソールなど、外付けのパーツを除去したり取り換えたりします。

個人的には、靴紐をシュルシュルと解く瞬間が好き。「よーしこれから始めるぞ~」と言う気分になってきます(笑)。

紐を取り除くと、陰に隠れていた元々のスエードの色がちょっぴり顔を出します。少し青みがかった部分が見えますでしょうか。あれがネイビーだった証左!

意外に忘れがちですが、靴紐も交換をおすすめします。個人的な目安は2回洗ったら交換。

こひ(筆者)
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ヨレヨレだと、地味にみっともないので注意!

また、今回はインソール(中敷き)も取り換えです(やっぱり汚い……)。私の場合はもともと27㎝だったので、市販の26~27㎝用を買えば足長はぴったりでした。

もともと入れていたソールと並べると、はみ出す箇所があったのでペンで印をつけてハサミで裁断しました。

これでフィットしてくれますね。公式サイトによると、おすすめされている公式製品が2種類ありますね。ニューバランスの店舗でもサイズ見ながら交換してくれるそうです。

 

ニューバランスのケア②:アッパーの汚れ落とし、保革・補色

まずは全体をシャンプーとブラッシングして汚れを落とす

紐を取ったら次に表面の汚れを落とします。まずはアッパーとソールの側面をゴシゴシします。今回はスニーカーケアシャンプーを使っていきます。

ハンドサイズのブラシに泡を盛ってそのまま表面をこすっていきます。スニーカーケアシャンプーを使う際のポイントは水が要らない点です。泡が水分を含んでいるためか、結構しっとりして、伸びも良いです。

ちなみにお気づきの方がいるかもしれませんが、このブラシはジェイソンマークの備え付けブラシです(笑)。

スエードの場合は毛羽立ちが全面的に抑えられて、しっとりします。それで大丈夫です。今度は布に泡をスプレーして、ベロの部分の汚れを拭き取ります。

この作業で、アッパー表面のほこりや汚れの大半が飛んだはずです。またこの段階でアウトソール(靴底)の側部にある軽度の汚れは、布かブラシで軽くこすって落としても良いでしょう。

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保湿リキッドでアッパー表面を保革する

次に保革、栄養チャージです。前述しましたが、スエードも動物の革でできているため、人の肌同様、水分や油分を入れて保革が必要です。

まず先ほどシャンプーをした後、スエード部分が乾いたらブラシで毛羽立てていきます。私のおすすめは「スエードブラシC」。コシの強いブラシと、柔らかいブラシの両方で力加減を調整できます。

手首だけでクイっと、フォークでスパゲティを掬うように、手前にカールさせながら毛を立てていきます。

写真だと少し見づらいかもしれませんが、ベチャっとした状態から、スエードらしいモコモコとした表面に。

汚れ落としが終わり毛が立っている段階で、渾身のリキッド注入です。

今回はこちら、東急ハンズさんとコロンブスさんのコラボ商品「スエード保湿リキッド」のナチュラル(無色)を使っていきます。

スプレーやクリームタイプでも良いのですが、こちらはポンポンと押し付けるだけでスポンジ奥の噴出口から保湿リキッドが染み出てくる仕組み。簡単便利なので好き。

トントントン……3分くらいかけてグルっと一周、湿らせてみました。無色透明のリキッドを使っているため、湿って色が変わってしまっても焦る心配はありません。

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マスキングテープを貼り、スプレーで補色する

これからマスキング、補色していきます。スエード靴のケアで一番の難所。今回はマスキングする箇所は下記です。

 

①ソール側部、②Nマーク、③履き口
※ベロ(タン)は内側に折り込むためマスキングは不要

 

特にニューバランスは大きいNマークを避け、履き口やソールの側部をしっかり覆わないと色が移ってしまい厄介です。

個人的な意見ですが、私がマスキングテープを貼る時はギリギリを攻めるより、スエードの淵に多少被ってでもしっかり覆っておくことを心がけています。

また、N部分にテープを貼るコツは、少し長めにはみ出させ、爪でクイクイっとNマークの内側に丸め込んで入れてしまうことです。ピッタリを狙ってテープを裁断するより、随分時短かつ正確になります。

さて、全体が覆われたらさっそくスプレーです。繰り返しですが、紐を通すベロの部分は内側に隠して振りかけます。また、言うまでもなく、自分の靴に合った色を選んでくださいね。

缶の説明書きには「靴から30㎝は離して」などと書いてましたが、30㎝はさすがに遠すぎてコントロールできない印象(笑)。 15~20㎝くらいがベストでした。

ちょっとビッタビタになってしまいましたが……概ね上手くいきました! 一周かけ終わったら自然乾燥させるかドライヤーで乾かし、様子を見ます。

一回振りかけて乾かした状態がこちら。並べて見ると違いが一目瞭然です!

皆さんのスニーカーの脱色の程度によりますが、私の場合は2周程度やって乾燥させて、好みの濃さになったので止めました。

一度振りかけて乾かしたばかりの段階だと、このように色ムラがひどいような見た目になります。ただ、ちゃんと乾かして先ほどのブラシで毛羽立てると落ち着いてきます。

 

スプレー ➡ 乾かす ➡ ブラッシングで整える ➡ 色を確かめる ➡ またスプレー

 

上記ステップで、少し時間を掛けて色を合わせていきました。また注意点として、片足に2周以上をスプレーをしてしまうと、もう片足の残量が無くなる可能性があるので気を付けましょう。

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補足:Nマークの対応:私はダサくなった部分は切ってしまう

こちらはボロボロになったNマーク。賛否両論ありそうですが、今回私は「綺麗になった方が良い」との判断で、手とカッターで切除することにしました。

この辺りはこだわり次第なので、放置しても良い気がします。ただ、自分としては我慢ならなかったので、取って良かったと思っています。

 

ニューバランスのケア③:アウトソール(靴底)のケア

ここで再び、アウトソールの汚れを見てみます。実は先ほどのスニーカーフォームケアシャンプーの時点で、軽めに磨いていました。

ブラッシングの時にこすっててもなお、しつこい汚れが残っています。

もし気になるならご自宅のメラミンスポンジ(激落ち君など)が有効です。「ハイター」など化学薬品を使ってまで落としたくない人は、この方法が手軽で綺麗になるので良いですよ。

ちょっと水をしみこませて、ゴシゴシこするだけ。カスが零れ落ちるのでその点は注意が必要です。

ちょっと写真が白飛びしてしまってますが、汚れは落ちました! やっぱり元々が白いソールの場合は汚れが目立ってしまうので、たまにお手入れするとグッと引き立って見えますね。

補足:アウトソールのつま先部分の剥がれ

こちらも気になる方用に補足です。私のM1400は左足だけつま先のソール部分が剥がれかけていました。

結論から言うと、汚れを掻き出して自宅の瞬間接着剤でペタっとくっ付けてしまいました(木工用ボンドじゃダメでした)。

よくよく見ると、2ミリ程度はみ出た接着剤の痕が残っています。ただ、今のところあんまり気になりません。履いていて気になるようだったら、お湯で擦って落としていこうと思います。

 

最後に:きれいになった、私のニューバランスの姿

最後に紐を通し、インソールを入れ直した私のニューバランスM1400です。ダメ押しに防水スプレーを振りかけて、防汚効果を高めました。いかがですか?

若干の色ムラはありますが、今後ある程度履いていけば、気にならないかな!

あとはマスキングさぼってたソール部分が、ちょっとだけ青くなってしまいました(笑)。完全に自業自得です。

1時間半ほどの作業で完了しました。ネイビーに完璧に戻るというより、グレーとネイビーの間くらいに。まぁ良いでしょう!

こひ(筆者)
こひ(筆者)
それでは最後に、ビフォーアフター!

ニューバランスさん、まだまだ引き続きよろしくお願いします!

●おすすめ記事:
意外に簡単! スタンスミスのお手入れ方法を2種類に分けて徹底解説

今回使った道具一覧

 

 

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