欲しい靴がある、でもすぐ買えない。悶々とする。
売り切れたら絶対後悔する、ただ色々と悩ましい…。こういった悩みは革靴好きならかなり頻繁にあるのですが、自分なりに我慢する工夫や購入までの判断基準があります。
今回は私の実践する方法を、具体的な雑誌やツールの名前を出しながら紹介します。
なぜ革靴の購入判断は難しいのか
モノを買う人の気持ちを整理してみる(あえて難しく)
人がモノを買うまでの気持ちの移り変わり(「消費者行動」なんて言ったりします)を、分かりやすくまとめた図があります。
【認知(Aware)⇒訴求(Appeal)⇒調査(Ask)⇒購入(Act)⇒奨励(Advocate)…】
少し噛み砕きます。チョコレート菓子を買う場合を想像しましょう。
まずテレビCMや街中の広告、スマホ広告で商品のことを知ります(Aware)。この時は、なんとなく商品名やロゴが頭に入ったばかりの状態です。
次に別の場所で広告にあたったり店頭で目撃したりして、じわじわと気になってきます(Appeal)。別の菓子を見ても、例のチョコレートが頭をちらちら過ぎっているかもしれません。
次第に「本当にあのチョコは美味いのか?」「値段は? 他の商品との違いは?」と、検索をしたりレビューサイトを見てみたり、場合によっては知恵袋に聞いてみたりします(Ask)。
最終的に購入し(Act)、その味や見た目を口コミ(Advocate)して別の人の購買行動に影響を与えていきます。
このような流れが、ひとつ一般的なマーケティング理論として提唱されています。
(※もちろんAppealやAskを通過せず、「もう買っちゃえ!」とその場で買われる場合も多々あります。
低単価の商材によく見られますが、そのように検討期間が短く直感的に購入まで到達するものを「低関与商材」と呼びます。)
革靴は買うまでの検討項目が多い
勘の鋭い人は気づいたかもしれませんが、私が大好きな革靴は検討期間が長く、一般的に「高関与商材」と言われています。つまり、買うのが悩ましい商材です。
なぜか? それは言うまでもなく、検討項目が非常に多いためです。チョコレートとは少しばかり訳が違います。
革靴は衣服のなかでも値段が比較的高く、その機能(木型の違いによるフィッティング、実際の色味など)が分かりづらいためです。
私はそんな買いづらい革靴の購買体験を、いかに円滑化するか(自分に合ったものをピックアップできるか)、マーケターとして、また革靴愛好家として自分なりに研究してきました。
導入が長くなってしまいましたが、今回は私なりの手段を紹介していきます。
革靴を効率的に購入する手法
まずは雑誌から自分に合うスタイルを探す
私の場合、まず書店に行き、自分のライフスタイルに合う雑誌をピックアップします。
そもそも雑誌毎にターゲットが様々なため、年齢や趣味趣向で選び方が変わります。ここである程度「アテ」を付けておきます。
例えば私は現在25歳で、IT企業に勤めています。がっちりスーツはほとんど着ることがなく、ビジネスカジュアルを勉強したく、革靴を取り入れていきたいと考えています。
そうなると、同じ革靴でもゴテゴテの紳士靴が載っているビジネス系やバイカー用のブーツが掲載されているミリタリー系の雑誌は選択肢から外れます。
その代わり2ndやメンズファッジ、クルーエルといったトラッド・カジュアルがまとまった雑誌を選ぶわけです。こうした書籍のなかから言葉や概念を学び、知識を深めていきます。
その革靴や周辺情報をPinterest(ピンタレスト)に集約する
皆さんはPinterestというアプリをご存知ですか?
簡単に言うと、【無料の情報取集ツール】です。作ってみたい料理や行ってみたい旅行先、着てみたい服など、ユーザーが欲しい情報を集めておくと、近しい情報がどんどんレコメンドされるアプリです。
Pinterest社は自分たちのツールを、人々の知りたい・やってみたいを促進する「ディカバリーエンジン」と称しています。
私は雑誌に載っている服や靴を、Pinterest内で検索したりGoogle検索で見つけた公式画像をピン(保存)したりして、オリジナルのボード(情報の集まり)をドンドン作っています。
そうしておくと、親和性の高い情報が次々に紹介されます。
例えばアイビーファッションのピンを集めていると紺のブレザーやニットタイが表示されたり、パラブーツのシャンボードのピンを集めていると同じようなUチップの靴が表示されたりして、色々な情報が網羅できます。
そのため私は【雑誌で見つけて、Pinterestでボードを作る】という行動を徹底しています。
欲しかった靴を店舗で手に取り、最後に検討する
雑誌で概念を知り(Aware)、ピンを集めてボードを作り(Appeal、Ask)、店舗に行って欲しい革靴を手に取る(Ask~Act直前)。
この手に取る、より正確には「履いてみる」という行為はフィッティングを確かめる上で大事です。買った後に痛すぎて履かなくなるのは最ももったいないです。
さてフィッティングも問題なしとなると、いよいよ最終段階です。
別の記事にも書きましたが、私は同じ役割の衣服を複数持ち過ぎないようにしています。そのためレパートリーに重複があまり無く、頭のなかで合わせ方のイメージが大体付きます。
ただ、最後にPinterestを見て相談するようにしています。ここが実は重要。
「自分はただ、靴の棚に置いておきたいだけじゃないのか?」
「本当に履くのか?」
これらを問う時間を作ります(もちろん観賞用の靴がある人を否定するわけではないです、自分には真似できないという感覚の問題です)。
Pinterestのコレクション眺めて1日2日ばかり考えます。
一旦、物欲を寝かすのです。今まで革製のスニーカーと派手目なローファーを選択肢から外したことがありました。実はこの段階で買わない判断していたのです。
この期間を突破して尚も「欲しい!」と思えたら、それは買うべき靴だと言えます。最近だと私はParabootのPoe(ポウ)を買ってしまいました。
諸事情あり3ヶ月も検討してしまいましたが、ダブルモンク自体長い間欲しく、ずっとPinterestを眺めていました。
最後に
やはり、しっかり検討した靴は合わせやすく、ちゃんと放置せず履きます。そうすると革靴は気持ち良い経年変化を見せてくれ、持ち主に応えてくれます。
雑誌とPinterest、実店舗のフィッティング。どれも大事なのでぜひ参考にしてくださいね。
参考文献
フィリップ・コトラーほか『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』(朝日新聞出版)
コメント